コンビニ各社が販売している冷凍たこ焼き、それぞれに「たこ」の原材料配合割合というのが「原材料配合割合○%」という形式で表示されているのをご存知だろうか。
特色のある原材料を謳っている場合はこういう表示がされるらしい。
この、たこの原材料配合割合がメーカーの記載通りなのか、たこ焼きからたこだけ取り出し、実際に量って割合を計算して検証する。
原材料配合割合とは
原材料配合割合については食品表示基準第7条
(任意表示)
出典:食品表示基準第7条
食品関連事業者が一般用加工食品を販売する際に、次の表の上欄に掲げる表示事項(特色のある原材料等に関する事項にあっては、酒類を販売する場合、食品を製造し、又は加工した場所で販売する場合及び不特定又は多数の者に対して譲渡(販売を除く。)する場合を除く。)が当該一般用加工食品の容器包装に表示される場合には、同表の下欄に定める表示の方法に従い表示されなければならない。
で、次の表というのがこちら
特色のある原材料等に関する事項
1 特定の原産地のもの、有機農産物(有機農産物の日本農林規格(平成十七年農林水産省告示第千六百五号)第三条に規定するものをいう。)、有機畜産物(有機畜産物の日本農林規格(平成十七年農林水産省告示第千六百八号)第三条に規定するものをいう。)、有機加工食品(有機加工食品の日本農林規格(令和四年財務省・農林水産省告示第十八号)第三条に規定するものをいう。)その他の使用した原材料が特色のあるものである旨を表示する場合又は製品の名称が特色のある原材料を使用した旨を示すものである場合にあっては、第三条第二項の規定により原料原産地名を表示する場合(任意で原料原産地名を表示する場合を含む。)を除き、次の各号に掲げるいずれかの割合を当該表示に近接した箇所又は原材料名の次に括弧を付して表示する。ただし、その割合が百パーセントである場合にあっては、割合の表示を省略することができる。
出典:食品表示基準第7条 特色のある原材料等に関する事項(※赤色マーカーは当サイトで引いたもの)
一 特色のある原材料の製品の原材料及び添加物に占める重量の割合
二 特色のある原材料の特色のある原材料及び特色のある原材料と同一の種類の原材料を合わせたものに占める重量の割合(この場合において、特色のある原材料の特色のある原材料及び特色のある原材料と同一の種類の原材料を合わせたものに占める重量の割合である旨の表示を表示する。)
2 特定の原材料の使用量が少ない旨を表示する場合にあっては、特定の原材料の製品に占める重量の割合を当該表示に近接した箇所又は原材料名の次に括弧を付して表示する。
赤色マーカーで示したが、この原材料配合割合というのは原材料及び添加物に占める重量の割合であるということ。
ということで、たこ焼きの重量とたこの重量をそれぞれ計って実際の商品の重量比が表示通りであるか求めることにした。
検証の詳細
この検証は個人の検証であり、正確な分析法や検証ではないということを最初に言っておきます。あくまでもおおよその目安であるということ。よってこの検証の結果が証明にはならないということ。
計量に使う機器はタニタのKD-187。0-250gまでの計量制度は±2%。表示は1g単位で0.1gまでは計量できない。2%の誤差ではあるが、1個19gのウエイトローラーを4個(76g分)乗せてきっちり76gを表示、2%の誤差があった場合77.52gとなり、77gを表示するのでこの機器は誤差2%未満である。
たこ焼きの重量は温めたあとに量った。この重さにタレと鰹節は含めなかった。タレと鰹節をかけると溢れるため。
たこの重量は、たこは中から取り出し、生地はなるだけ取り払ったが、水などできれいに洗浄はしていないので、生地などわずかについていればたこが実際よりはわずかに重くなる(と言っても0.1gあるかどうか)。この場合だが、たこ割合が低くなることはなく、むしろ高くなる。そもそも計量器が1g単位までしか量ることが出来ないので、そこまでこだわる理由がなかった。
商品にはバラツキもあるため、すべての商品でこの記事の検証通りの重量を示すとは限らない。
調査する商品
調べた商品はコンビニ大手3社の冷凍たこ焼き。セブンの銀だこを除き、製造はテーブルマーク。しかしコンビニ各社が作ったレシビで製造を委託された形であろう。
セブンだけ2商品あるので全部で4商品。銀だこを除いては価格はほぼ同じ。
- かつおとこんぶの風味豊かな たこ焼き(セブンイレブン・321円)
- 築地銀だこ たこ焼き(セブンイレブン・540円)
- あおさ香る ふんわりたこ焼き(ファミリーマート・335円)
- とろ~り たこ焼き(ローソン・333円)
検証
セブンイレブンの冷凍たこ焼き
セブンイレブンの冷凍たこ焼きは2つあるので2つとも検証。
かつおとこんぶの風味豊かな たこ焼き
セブンイレブン、かつおとこんぶの風味豊かな たこ焼き(6個入り税込み321円)。
たこ焼きの重さはパッケージ表記180gに対して178gあった。表記通りといえる。
たこの重量は11g。大きさはそこそこあった。
パッケージ記載のたこの原材料配合割合は10%。しかしたこ焼きが178gでたこが11gなので配合割合は6.1%となった。
築地銀だこ たこ焼き
セブンイレブンは通常のたこ焼きとは別に、築地銀だこ たこ焼きという、6個入りで税込み540円とちょっとお高めの冷凍たこ焼きがある。レンジで温めてもこれだけカリッとした表面だった。
たこ焼きの重さはパッケージ表記162gに対して164gあった。表記通りと言える。
たこのほうが12g。見た感じの大きさは極一般的なたこの大きさ。
たこの原材料配合割合は14%(仕込み時)と書いてあるが、164gのうち12gで計算すると7.3%となった。公称値のおおよそ半分。
ファミリーマートの冷凍たこ焼き
あおさ香る ふんわりたこ焼き
ファミリーマート、あおさ香る ふんわりたこ焼き(6個入り税込み335円)。
パッケージ記載では、たこ焼き180gとなっているが、171gしかなかった。まあレンジで水分が飛んだのかもしれないということで。ただ、たこ焼きの水分が飛んで軽くなったとしても、たこは内部にあって蒸されて軽くはならないと思うので、配合割合は高めに出るはず。
たこを取り出したが、ちょっと小さいなと言う感じ。はかったら8gしかなかった。
パッケージ記載のたこの原材料配合割合は7.9%。たこ焼きが171g、たこが8gから計算すると配合割合は4.6%となった。
ローソンの冷凍たこ焼き
とろ~り たこ焼き
ローソン、とろ~り たこ焼き(6個入り、税込み333円)。
たこ焼きの重量は171g。パッケージ記載は180gとなっているので結構少なかった。温め後にはかったので、レンジで水分が飛んだのかな。
たこは見た目でそこそこの大きさがあり、11gだった。
パッケージ記載のたこの原材料配合割合は10%。しかし、たこ焼きが171gでたこが11gなので配合割合は6.4%となった。
まとめ
それぞれの結果を表でまとめた。
セブン | セブン (銀だこ) | ファミマ | ローソン | |
たこ焼き重量 ()内はメ-カー表記 | 178g (180g) | 164g (162g) | 171g (180g) | 171g (180g) |
たこ重量 (メーカー表記なし) | 11g | 12g | 8g | 11g |
たこの重量比 ()内はメーカー表記 | 6.1% (10%) | 7.3% (14%) | 4.6% (7.9%) | 6.4% (10%) |
すべての商品でパッケージにあるメーカー表示の値の5割から6割程度と大幅に少ない数値だった。
計量器の精度が±2gとして考えても、明らかに表示より配合割合が少ない結果。配合割合表示の許容誤差が調べてもよく分からなかったが、仮に20%だとしても、全く足りないレベルで少なかった。
たこはきれいに洗わず量ったので、生地が少しついていると考えれば、わずかに重くなり(1g単位がずれるほどは狂っていないと思うが)、配合割合が低くなる影響はないと考える。
レンジでたこの水分が飛ぶかについても、内部にあるため蒸されて軽くなることはないと考えた。むしろたこ焼き総重量は水分で軽くなった可能性はある。そのため配合割合が低く出る影響はなく、記載通りの割合で入っていれば、割合は高く出る可能性のほうがあると考える。
今回の検証はタレと鰹節を含めていないが、食品表示基準では「特色のある原材料の製品の原材料及び添加物に占める重量の割合」となっているため、本当はタレと鰹節を含めて計算するべきである(たこ分解・計量時に汚れるのでしなかった)。基準通りにタレと鰹節を含めていたら配合割合はこの結果よりもっと低い数字となる。
カットたこの大きさにはバラツキがあるため、メーカーはきちんと重量を揃えることは難しいが、すべての商品で記載数値より5-6割ほどと大幅に低かったということは、バラツキが原因とは考えられない。
パッケージにはこの原材料配合割合は「仕込み時」と書いてあるが、この記事の検証の条件では、計量器の精度を除き(とはいっても誤差は2%未満だった)、配合割合が少なめに出る要素はほとんどない(むしろ多めに出る要素がある)ので、実際の配合割合(重量比)がメーカー公称のたった5-6割程度だったというのは腑に落ちない。