日本では原材料や輸送費などの影響で食品の値上げが何度もありましたが、そのたびに思うことは、お菓子が小さくなっていくこと。
値段据え置きで小さくしてしまおうという方向性のメーカーが多い。小さくはするが、パッケージはそのままの大きさだったり、以前と同じ大きさに見えるように形状を工夫したり、色々試行錯誤が見えます。
板チョコの場合も例外ではなく、以前標準サイズで70gあったものがどんどん軽くなって現在では50gが標準となりました。
こういう流れの日本に対し、スイスでは一貫して不変サイズです。スイスでも物価は上がっています。ただし、価格据え置きのまま肉を削いでという考え方はなく、そのまま価格が上がっている感じです。
チョコレートは標準100gサイズが1.95CHFで買えたものが最近は2.40CHFだったり。カマンベールチーズも96年頃はCOOPで1.00CHFくらいで置いていたが最近は無理。
日本では価格そのままに小さくする傾向が強くあり、しかしそれは時に消費者の反感を買う。消費者に気付かれないようにこっそり肉厚を薄くしたり軽くしたり小さくするという手法は消費者ダマシと受け取られ、評判が悪い。
そこで日本のような傾向がないスイスの板チョコレートと日本の板チョコレートを比べて日本のこの異常事態を実感してみよう。
これで板チョコは本来どうあるべきか、見えてくるかもしれない。
比較したのは国内3メーカーとスイス1メーカー
比較したのはスイス1メーカーと国内3メーカーの4種類。どれもスタンダードなチョコレートである。一応ミルクチョコレートで統一した。
- リンツ ミルクチョコレート(スイス)100g
- 明治 ミルクチョコレート 50g
- ロッテ ガーナ ミルクチョコレート 50g
- トップバリュー チョコレート 56g
パット見は明治ミルクチョコが一番小さく見えた。スイスのリンツミルクチョコは持った感じの重量感がやばい。
リンツ ミルクチョコレート
スイスでスタンダードな板チョコ。COOPなどのスーパーに税込み2.40CHF(294円)ほどで売っている。ボクが昔行ったときは1.95CHFくらいだった。価格は高めだが100gということを考えると物価の高いスイスでは納得がいく。
ちなみにこれはイオンで税込み421.2円で購入。日本だと値段がかなり高い。
スイスのリンツ ミルクチョコレートは消費者騙しの下手な小細工は一切なかった。正々堂々とした商品だと感じた。パッケージの大きさギリギリで中身が詰まった商品。値段は高めだがこういった堂々とした商品は好感が持てる。
味はまろやかでかなり甘い。きつくなく食べやすい味。4製品の中で最も美味しかった。
なかなか見ないチョコですが、通販でも購入できます。ですが、かなり高いのでスーパーがおすすめかもしれない。一応リンクは貼っておきます。
明治 ミルクチョコレート
日本で板チョコレートといえば真っ先にイメージするのが明治。これは歴史が長い。購入はドラッグストアコスモスで税込み98円。その他スーパーでも概ね税込み108円ほどで購入できる。
近年は物価の上昇でどんどんサイズダウンが進み2021年11月20日の段階で重さはたった50gである。
物価が上がるたびにサイズダウンしてきた明治ミルクチョコレート。
価格をなるだけ上げないするための苦肉の策。ブロックの中央がくり抜かれた姿が涙ぐましい。ただしこういう手法はあまりやりすぎると消費者からの評判が落ちる。
ロッテ ガーナ ミルクチョコレート
ロッテのガーナは日本では有名な板チョコ。おなじみの赤い箱に入っている。こちらも物価の上昇でサイズダウンが進み、2021年11月20日現在の重量は50gだ。昔は70gもあったらしいが。
やはり日本は価格据え置きで商品をサイズダウンするという手法が多い。
形状を見ると明治やトップバリューのようにブロック中央がくり抜かれた形状ではなく、全体的に薄い板チョコとなっている。薄いゆえに面積は広い。
トップバリュー チョコレート
トップバリューのチョコレートはとにかく安さがウリである。56gサイズがイオンで税込み70.2円だった。
56gということで明治屋ロッテの板チョコよりわずかに重い。明治の板チョコと形は似ているが厚みはやや厚い。チョコにブランドの刻印などはないシンプルなもの。
味の方は4製品で最も甘かった感じがする。後味がやや強いので多くは食べられない。他の3製品より味はやや劣るかなという気がした。
開封して並べてみた
開封してざっと並べると色に明確な違いがあった。どれもミルクチョコレートだが、スイスのリンツだけ明るい色をしていた。ミルクが多めに入っているのだろう。対して日本の3メーカーはほぼ同じ色。ミルクチョコレートの基準がスイスとは違うのか。
明治ミルクチョコレートとトップバリューのチョコレートはパッケージの上から見た感じで厚みがあるように見せるためにブロックの中央部をくり抜いたような構造だ。ロッテガーナは箱に入っているので薄く作っても薄さをごまかせる。
スイスのリンツだけはパッケージから見たまんまの中身でハッタリなど一切なし。
ちなみに裏側もくり抜かれている可能性もあるのでチェック。しかし裏側はどれも平面で細工はなかった。
おっとその前にまず重量をチェック。
重量を実際に計測
メーカーの公称重量は当てにせず、実際にはかってみる。
ブランド | 公称値 | 実測値 |
---|---|---|
リンツ ミルクチョコレート | 100g | 101g |
明治 ミルクチョコレート | 50g | 50g |
ロッテ ガーナ ミルクチョコレート | 50g | 50g |
トップバリュー チョコレート | 56g | 57g |
重量はどれもほぼ公称値。1gははかりの誤差と見ていいと思います。
スイツのリンツは言うまでもなく分厚くて重かった。トップバリューは小さく見えたが厚みがややあるので明治やロッテより少し重い。
ディティール比較
4製品を並べて感じたことはチョコ形状。板チョコは板であってブロックで割れやすいように溝が入っているわけだが、日本のチョコレートはその溝以外に細工がしてある。特に明治とトップバリュー。
厚みの最大は明確な違いがあった。
明治とトップバリューは厚みを見せかけるように縁を高くして中をくり抜いているようにしか見えない。その違いはスイスのチョコと比べれば一目瞭然だった。
ん~これは何かに似ている!冷凍庫で見たことがあるあれだ!そうだこれは製氷皿だ!
ここに水入れて冷凍庫に入れれば氷が作れるに違いない。皮肉だがこれが率直な感想なのだ。
ブランド | サイズ 全長x幅x最大厚(最小) |
---|---|
リンツ ミルクチョコレート | 158 x 75 x 7(6)mm |
明治 ミルクチョコレート | 145 x 64 x 6.5(3)mm |
ロッテ ガーナ ミルクチョコレート | 157 x 69 x 5(3)mm |
トップバリュー チョコレート | 126 x 74 x 7(4)mm |
総評
国内3メーカーの商品はスイスの標準的な100gサイズの板チョコと比べると明らかに小型で軽かった。日本の板チョコは重さが半分の50g。しかし日本も昔は60gとか70gとかあったようだ。しかし50gだと足りないかと言われるとそういうことはない。
ただ、時代とともにどんどん小さく薄くなっていく姿は見ていて悲しい。味の方も経費削減されているかというとそれはわからないが、食べた感じではふつうに美味しい。しかし最も美味しいと感じたのはスイスのチョコレートだった。これは好みもあるかもしれない。
スイスのチョコレートはこのリンツ以外にも現地で色々食べたことがあるがやはりどれも100gサイズくらいが標準だった。スイスも年々物価は上がっている感じだが原材料は惜しみなく使っている感じがした。
ナッツが入ったチョコレートも容赦なくたっぷり入れられている。イメージ写真と中身はイコールなのだ。日本も見習うべきかもしれない。
現在50gが標準となった日本の板チョコ。さらに物価上昇があると40g・・・35gとなっていくのだろうか。そうなると厚さ2mm3mmというダンボールより薄いものへ変わり果ててしまうのだろうか。